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Windows95, 98、 Internet Expolorer3.0, 4.0 の開発を牽引した偉大な先輩エンジニア、中島聡氏。
本書は氏から若手エンジニアに贈られたエールだ。
構成はこのようになっている。
はじめに
プロローグ
第1章 “世界を舞台に働いてみないか?”
第2章 日本のエンジニアは大丈夫か?
2-1.「ITゼネコン」の副作用
2-2.大学生に勉強させない仕組み
2-3.新興国を見下していると痛い目にあう
2-4.かつての“必勝パターン”が通用しなくなっている
2-5.金儲けは「悪」なのか
第3章 勝てば官軍、負ければガラパゴス
第4章 自分を変えて自由になろう
4-1.まず第一に考えるべきは自分のキャリアパス
4-2.キャリアパスの考え方
第5章 エンジニアとして世界で成功する
5-1.世界のIT企業はこんな人材を探している
5-2.一番大切な「好きだから頑張れる」
5-3.英語はグローバル人材市場へのパスポート
5-4.エンジニアに必要な「生の知性」とは?
5-5.ブログを書こう。できれは実名で。
5-6.ビジネスの事が分かる技術者なら最強
5-7.独立・起業の前に知っておくべきこと
5-8.技術書以外の本も読もう
おわりに
特別付録 試験官が自ら語る「ビルゲイツの面接試験」─生の知性を磨く頭の体操集─
前半で語られる日本企業の問題点
NTT総研でサラリーマンを経験したあとに渡米しスタートアップに飛び込んだ氏には日本企業の問題点がよく見えるようだ。
Life is beautiful: とある家電メーカーでの会話:クラウドテレビ編
これは本書中にも転載されている氏のブログのエントリだ。
一種のブラックジョークなのだが、笑い飛ばしていいものかやや躊躇われる。
本書では様々な論点が語られているが
上のエントリ同様、そこに小難しい理屈はない。
氏は評論家ではない。
現役の経営者であり、エンジニアだ。
開発を担当する人、開発者から上がってきた仕様を承認する人の心の動きを想像して語られる分析は妙に生々しく、読者の頭と心に語りかけてくる。
後半で語られる「僕はこんなことをしてきたよ」
妙に心に残ったくだりがある。
『5-4.エンジニアに必要な「生の知性」とは?』の中の、P190あたり。
氏は『Flocks, Herds, and Schools:A Distributed Behavioral Model』という論文を読んで、そのシンプルさに感動して、後日下のエントリの金魚プログラムを書いてみたそうだ。
Life is beautiful: 習作UI: 縁日の金魚を再現してみた
なぜ心に残ったのかは分からないが、せっかく心に残ったのだし、
いずれ時間を見つけて私も書いてみようと思う。
後半はこのように、氏の経験を交えつつ、後輩エンジニアに向けての提言が語られている。
経験に基づいた提言なだけに説得力がある。
私のようなヘソ曲がりには大変ありがたい。
氏の薦める良書6冊
本書の最後のほうで
- 「ブログをはじめてみたいが,何を書いてよいのか分からない」と悩んでいる人のための三冊
- 技術書以外の本を読もう -世界を目指すエンジニアのための推薦図書-
として、6冊の良書が紹介されている。
どれもタイトルからして面白そうだ。
ちょうど積ん読本が減ってきたので私も何冊か買ってみた。
「ブログをはじめてみたいが,何を書いてよいのか分からない」と悩んでいる人のための三冊
三笠書房
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筑摩書房
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技術書以外の本を読もう -世界を目指すエンジニアのための推薦図書-
翔泳社
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最後に
ブログ・雑誌連載をベースに構成されているだけに大変読みやすい。
モチベーションを刺激する内容なだけに手元に置いておきたい一冊だ。
ちなみに本書のエッセンスは氏のブログ『Life is beatiful』で存分に語られている。
興味のある方はぜひアクセスしていただきたいです。
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