2011/07/01

バブルの仕組みが分かる本 - [書評] - 社長失格 ぼくの会社がつぶれた理由

社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由
板倉 雄一郎
日経BP社
売り上げランキング: 5381


著者の板倉雄一郎さんは自身が経営する株式会社ハイパーネットを負債総額37億円で破産させ
翌1998年1月には自身も同26億円で自己破産された経歴をもつ。

私が本書を初めて手にとったのは大学生の時。
たしかそろそろ就職活動を始めなければ、という時期だったように思う。

おぼろげにしか理解できなかった本書の内容も、数年間社会の中で働いたおかげか、当時よりはっきりと深く理解できた。

本書の目次は以下のとおりだ。

プロローグ 1997年12月24日
第1章 創業 1984年2月-92年9月
第2章 展開 1992年10月-95年8月
第3章 ハイパーシステム 1995年9月-97年1月
第4章 転落 1997年2月-10月
第5章 倒産 1997年11月-12月
エピローグ 再び、1997年12月24日


1997年12月24日は著者の経営する「株式会社ハイパーネット」が破産宣告を受けた日だ。

破産宣告の日をプロローグに、創業→収益事業となるIMS事業の立ち上げ→ハイパーシステムという花形事業の立ち上げ→バブル→暗雲→破産宣告、と地獄を見た著者の視点で赤裸々に語られていく。

95年に生まれたハイパーシステム、しかし

話に古臭さは感じられない。

TechCrunch Japanなどで△△というサービスが〇〇ドルの資金調達、といったニュースが日々報じられている現代と、著者がバブルを謳歌した時代と、むしろそっくりと言って差し支えないのかもしれない。

著者が展開したサービスも、ダイヤルQ2を利用していたり、プロバイダ事業から着手せねばならなかったりというあたりに時代を感じるものの、その本質は、現在日々生み出されているインターネットサービスとなんら変わるところがない。


現代はクラウドの登場などで必要な初期投資額が小さくなった分、著者の時代よりも、より百花繚乱、群雄割拠な状態だ。

三国志でいったら黄巾の乱が始まったところなのか。
魏と呉に主要なところを抑えられちゃったので、残りの隙間に蜀を建てようと皆必死なのか。


誰か書いてよ、『インターネッツ三国志』

最後に

著者の板倉さんは自己破産されたのと同年の12月に本書の初版を出版。
その2年後の2000年にはVC会社を立ち上げられたようです。

現在は板倉雄一郎事務所を経営し、著作も多数です。

個人的には自己破産後の話を読みたいんだけど、出版されてないのですかね。

Twitter(@yuichiroitakura)でも毎日元気につぶやいていらっしゃって見事復活されているようです。

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