2011/12/27

[書評] - 「うつ」とよりそう仕事術

「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)
酒井一太
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
売り上げランキング: 685


私はうつを患っているわけではないのですが

  1. 自分に降りかかったことのない災難を想像できない程度にデリカシーがない
  2. とはいえ、そういう人間ですねんと主張すればまかり通れると思えるほどに無邪気でもない
  3. なので未経験の災難話には意識的に耳をかたむけようと思っている
  4. そんななか知人の一太さんがうつの本を出版すると小耳にはさんだ

という経緯で本書を手に取りました。

ロジカルですね。
一冊の本を読むまでの経緯をこれだけロジカルに説明できるとは知的ですね。

私はそんな自分が大好きです。

そんな私でもうつになる可能性は充分にあります。
一太さんも繰り返し書いてますが、だれもがうつになる可能性をもっているようです。

そんな意識をもちながら本書を一読し、その間に思ったり考えたりしたことを
つらつらと書いてみようと思います。

 

「心の病」という表現はやめようず

私たちは、小さいころから「成せば成る」だとか「心頭滅却すれば火もまた涼し」だとか「美人は三日で飽きる」だなどと言われながら育ってきました。

アニメや漫画のキャラクターは特段のトレーニングをつまずとも怒り心頭に達すれば突然強くなったりしますし、集中力を高めれば岩とかビルとか地球とか一瞬で破壊できたりしてしまうわけです。

他の国がどうという話ではなく日本の文化として精神力というのは割りと大きなウェイトを占めているのではないでしょうか。

そして猫の手も借りたいほど糞忙しいプロジェクトが進行する中、メンバのひとりが心の病とやらに罹りました、休ませてください、と言ってきたとしましょう。

みんなしんどいの我慢して働いてるのにおまえサボろうっちゅうんかい!! とか
休めていいな、おれはしんどいけど!

と思いませんか?大人だから誰もそんなこと口に出しませんけど。

ではこれが肺炎だったら?盲腸だったら?胃がんだったら?



うつというのはほぼほぼ脳の疾患だろうというのが定説になりつつあるそうですね。聞きかじりですけど。
ただ脳の構造がまだまだ未解明なのではっきりどこが悪いとは言えないです、と。

きっと本来必要ななんとかニシンが過剰にでてしまったり、あまりでてはいけないなんとかフェロンが過剰にでてしまったりとかそういうことなんでしょう。

臓器が炎症を起こしたり、腫瘍ができたりするのと区別する理由が私には見当たりません。
冒頭で自分にもうつになる可能性があると書いたのもそういう理由からです。

心の病になど私は絶対に罹りません。自信があります。
けど脳の疾患はいつ何時私を襲うかわかりません。

だから、心の病という表現やめようず。
言葉って割りと大切だと思うんですけど。

 

 

客観的な判断基準を設けようず

うつ病患者数がここ10年で爆発的に増えたそうです。

現代はうつを患いやすい社会構造になっているんだ!と断じてしまうのは簡単ですけど

  • うつという病気とその症状がメジャーになった

というのも大きな要因だと思います。

うつの諸症状というのは部分的には誰しも合致するんですよね。

私もどれだけ頑張っても朝起きられないですし、一通のメールや一本の電話が原因で一日中イライラしてしまうこともありますし、なにもする気が起きなくてずっと布団の中でもぞもぞしていたい日だってあります。

これらの諸症状に合致するのは非常に簡単でして、つまりなにが言いたいかというと
つまり思い込みうつの方の数も相当数増えているのではないか、と。

思い込みうつの方が増えると非思い込みうつの方も、「あいつも思い込みうつじゃねえの?」という目で見られてしまって形見の狭い思いをしてしまうしさせてしまいますよね。

また客観的な基準があれば、非思い込みうつの方の頑張りすぎの防止にもつながると思います。

体がしんどいから病院行って薬もらってもうひと頑張りしようと思っていたところ病院で「白血球が2倍になってますよ?」と言われたら「あ・・休もうかな・・」となるではないですか。

それと同じです。抗鬱剤というものが存在するんですから、客観的な基準・・作れるだけの材料は揃ってると妄想するんですけど。

本書の感想

うつを患った一太さんが復職までにやったこと、復職後にやってきた工夫が丁寧に紹介されています。

私なんかは上の文章にもあるように「やろうず!( ノ゜Д゜) 」と言ってしまいがちなのですが、本書は少しの押し付けがましさもなく、ただただ一太さん自身がしてきた工夫を、「おれはこうしたよ」という体で紹介しています。

再発の不安を感じさせるあたりに胸がキュンとなりつつも、ところどころにお得意の毒舌も混入されていて、適切な表現かはわかりませんが楽しく読むことができました。

以下気に入った一節です。

  • 文章が間違えていることを指摘された。 → 日本語変換に転嫁しましょう。
  • プレゼンの出来で怒られた。 → パワーポイントのひな形の出来の悪さに転嫁しましょう。
  • 計算ミス。 → エクセルのバグということにして、エクセルに転嫁しましょう。


Microsoftさーん( ノ゜Д゜)

 

最後に

いまちょうど寝る前に読んでいる本が脳疾患の本でして。
そんな時に一太さんの本を読んだので、なんだか書評の体を為していない文章になってしまってますね。

ちなみにその本はこちらです。

→ 眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

こちらも良書。オススメです。

「うつ」とよりそう仕事術 (Nanaブックス)
酒井一太
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
売り上げランキング: 685

 

 

 

 

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